第十五章

ということで第十五章
そろそろ大詰めです

後二三話で最終決戦に挑むものたちというところになりますが




                 第十五章

通常空間に復帰後、俺はとりあえず放置して置いた疑問を口にすることにした
いつもは赤い夜が終わると同時に姿を消していた“ソレ”が今もあることも含めて…

【彰】
「どういうことだ…アブラクサスはどうなった?」
【菊理】
「デミウルゴス…自己紹介してあげて」
【デミウルゴス】
「私は…あなた達がアブラクサスと呼んでいたものの本体のようなもの、と考えてもらえればいいと思うわ」
【彰】
「…つまり、アブラクサスはあんたの力の一部だったと?」
【デミウルゴス】
「ええ…そして、この結界を展開していたのも私…あなた達がこの世界に召喚されたときに、この世界の影響を受けないように結界を展開してきたのだけど、敵に私の存在が看破されてしまった…今までこの世界に現れていた闇精霊は敵からの干渉、世界の影響を受けないものを抹殺せんとする意思が私の記憶の中からあの姿を構築して現れていたの」
【彰】
「…そういう、ことか…」
【デミウルゴス】
「あなたはずっとその可能性に気づいていたわね…あなたはこの世界における特異点の一人だったから、その可能性に至れたのでしょうね」
【彰】
「…一人、といったな、他にもいるということか?」
【デミウルゴス】
「私が意図的に特異点となるべく世界に干渉したのは貴方、駆君、メッツァーさんの三人、後の方々はこの世界の変動の折に世界の敵となるものと戦うべく勝手に選定した結果選ばれた人たちということになるわ…ただし、アルフレッドさん、貴方とリックさんは特異点よ、この意味がわかる?」
【アルフレッド】
「…私が今までいた世界における双七君やリック、または、あの時点での私や九鬼耀鋼のような存在ということですか?」
【デミウルゴス】
「ええ、雲外鏡ではないけれど、この世界をあれの好きにさせるわけにもいかない、でも、私には直接この世界に干渉する権限はない、あくまでも貴方たちに頼るしかなかった」
【彰】
「では…彼らもまたこの世界とは異なる世界から世界ごと召還された、と?」
【デミウルゴス】
「いえ…世界ごとという表現は適切ではないわ」
【彰】
「…世界の断片、ということか?」
【デミウルゴス】
「この世界は…貴方達の世界の環境を模倣しているだけ、雲外鏡の作った世界に非常に近いわ、そして肝心なのは…雲外鏡の作ったあの世界とは異なり、この世界に呼び出されている存在はすべてが本物だということ…アルフレッドさん、貴方の世界に、すずちゃんはいた?セルマさんはこれほど覇気に満ちていた?」
【アルフレッド】
「いや…聞いた話だが、両者共にその存在が強すぎて模倣できなかったと聞いたが」
【デミウルゴス】
「つまりはそういうこと、模倣するだけならまだ良かったのでしょうけど…この二人が二人として存在するには本人を呼ぶしかない、八咫鴉も同じ、だから、貴方の世界にこの三人はいなかった」
【アルフレッド】
「こちらのことを…ずいぶんと詳しく知っているようだが?」
【デミウルゴス】
「貴方と…優さん、貴方達二人を送り込んだのは雲外鏡よ、あれを倒すために…どうしてもアルフレッドさん、貴方の力は必要だった」
【アルフレッド】
「…そういうことか」
【リック】
「…斑影…ですか?」
【彰】
「ギリンヤガ…?」
【デミウルゴス】
「実際に見てもらうべきね、それだけは…そして…彰君、双七君…今回のフィニッシャーは…貴方達よ」
【彰】
「…ああ、理解した、何をやればよいのかは…で、いい加減に聞かせろ…俺達の敵の名を…何者であるのかを」
【デミウルゴス】
「…這い寄る混沌…この世界を戯れに作り出し…そしてやがては滅ぼすだろう神の名よ」
【彰】
「…クトゥルー神話の邪神の名だな?」
【デミウルゴス】
「…彼はその名の一つ、一にして千の貌持つものと呼ばれるように、いくつもの姿を持つ、ソレは形を変えるのではなく、同じ名と力を持つ存在が無数に存在しているということ、彼らは時として人に恩恵を与え、時として人を破局へと追い込む、己が快楽のために、己が興味のために…混沌にして神たるもの、ソレが彼らよ」
【彰】
「…なるほどな…最後に一つ確認だ、これ以降、この世界が変質することはあるのか?」
【デミウルゴス】
「…おそらく、ないでしょう、今回、急に闇精霊が増えたのは、混沌が私達の存在を知り、抹殺のために本格的に動いたから…世界を破滅に追いやろうと動き出すまで、そう時間はないはずよ」
【彰】
「…解った…俺からデミウルゴスに対する疑問はもうない、後は他の連中にあるだけだが、他の連中からデミウルゴスに疑問はあるのか?」
【双七】
「ええと…俺達は、元の世界ではどうなっているんですか?」
【デミウルゴス】
「おそらくは、いなかったことになっていると思うわ、確証はないけれど」
【双七】
「じゃあ、向こうに戻ることは?」
【デミウルゴス】
「混沌さえ倒せれば、私の力で送り返すことは不可能じゃないはずよ」
【彰】
「ソレは任意に出来るんだよな?」
【デミウルゴス】
「ええ…もちろん、自分のいた世界以外に転移することも可能なはずよ、もっとも、その場合は今までの縁をすべて断ち切ることになるだろうけど」
【彰】
「ソレを聞いて安心した…どちらにせよ、腹は決まった、ということだ…ほかの質問がないようなら…自己紹介と、お互いの世界について、話がしたい」
【リック】
「でしたら、その前に…如月君、でしたね?」
【双七】
「あ、はい…」
【リック】
「おそらくは気のせいですが…貴方とは、かつてどこかで、共に戦ったことがあるような気がするのです」
【双七】
「リックさんも…ですか?俺もそんな気がしてたんですよ」
【彰】
「どういうことだ?」
【アルフレッド】
「おそらくは、俺達の世界のことだろう、あそこで作り出されたお前達を模倣した存在、その記憶の一部が何らかの形でお前たちに流れ込んでいるのだろう」

詳しいことは自己紹介の後ということとなり…

【彰】
「…じゃあ、自己紹介を始めよう、神咲彰、人妖で、能力は鬼だ、おそらくはこの場にいる全員が知っているらしい九鬼耀鋼の弟子の一人、アルフレッドがこちらを訪れた当時はまだ壁の外にいたが、学園祭終了から半月後に入学したものだ、よろしく頼む」
【愁厳】
「一乃谷愁厳だ、人妖で能力は牛鬼、神沢学園の生徒会長を勤めさせてもらっている、よろしく頼む」
【刀子】
「一乃谷刀子です、人妖で能力は牛鬼、よろしくお願いしますね」
【双七】
「如月双七です…人妖で能力は付喪神、彰と同じく九鬼流を使います、よろしくお願いします」
【菊理】
「橘菊理です、彼女…デミウルゴスの力を借りて戦ってます、後は簡単な治療程度ならデミウルゴスの力がなくてもできるようになりました、よろしくお願いしますね」
【駆】
「皐月駆です、剣術使いやってます、よろしく」
【美鈴】
「草壁美鈴だ、陰陽師をやっている、よろしく頼む」
【栞】
「百乃栞…魔術師、よろしく」
【雪子】
「広原雪子で~す!能力は人よりちょっとだけ治癒能力が高いことだけですね」
【賢久】
「田島賢久、能力はパイロキネシスだ、よろしくな」
【メッツァー】
「メッツァー・ハインケルだ、魔術師をやっている、よろしく頼む」
【ココノ】
「ココノ・アクアと申します、よろしくお願いしますね」
【凛々子】
「私は七瀬凛々子、戦闘の際にはスイートリップに変身して戦ってるわ、よろしくね」
【ミズハ】
「ミズハと申します、以降よろしくお願いしますね」
【咲月】
「五十鈴咲月よ」
【奈緒】
「黒羽奈緒、よろしくね!」
【アルフレッド】
「アルフレッド・アロースミスだ、よろしく頼む、で、こいつが」
【ルダ】
「ルダよ、よろしく」

人間になった!?

【彰】
「…リックたちも同様の反応をしているところを見ると…そちらの技術でもないのか?」
【ルダ】
「ええ、私は向こうの世界ではこちらの姿でしか存在しない、この世界に来るに当たって、銃と剣の姿を取り戻したのよ」
【彰】
「…そこらへんは後で詳しく聞かせてもらおう」
【優】
「神咲優、人妖で、能力は鬼…どうやら、こっちの彰兄は生まれた世界が違うみたいね」
【彰】
「…彰兄?」
【優】
「なんとなく、呼びやすいから」
【彰】
「まあ、いいんだけどな…」
【セルマ】
「セルマ・フォルテンマイヤーよ、種族はドラゴニュート、現在のフォルテンマイヤー家の主よ」
【彰】
「…ええと、アルフレッドよ」
【アルフレッド】
「たぶん、今お前が想像している通りだろう」
【彰】
「OK,把握した、次どうぞ」

つまり…伝承のドラゴンのような存在に変身したりとかその特徴の一部を持っているということだろう

【リック】
「リック・アロースミスと申します、フォルテンマイヤー家の執事で、種族はハーフエルフ、アルフレッドとは兄弟の関係にあります、で、こいつが」
【ベイル】
「ベイル・ハウターだ、よろしくな!」

…今度はさすがに驚かない

【彰】
「そっちの世界では言葉を話す武器というのは多いのか?」
【ガラ】
「それほど多くはない、確かに古くから伝わる武器にはそういうものもあるがね」
【ヴァレリア】
「ヴァレリア・フォースターです、種族はエルフで見習いの魔法使いです」
【雪】
「渡良瀬雪、ヴァレリア様の執事を勤めています」
【コゼット】
「コゼット・レングランスだ、フォルテンマイヤー家でメイドをしている」
【ガラ】
「ガラ・ラ・レッドウッドだ、見ての通りのリザードマン…最も、君達の世界では僕のような存在は人の言葉は話さないらしいけどね」
【彰】
「…師匠か?」
【ガラ】
「君は彼の弟子に当たるんだったね…ああ、一度話しただけだが」
【彰】
「…そちらはソレで全員か…」

さて、ここから見える馬鹿でかい屋敷がフォルテンマイヤー家の屋敷らしい、近くに居ることもあって案内される

【リック】
「…人の気配が減っていますね、キャロル!キャロルはいますか!?」
【キャロル】
「はいはい、どうしたの?ってお客さん?」
【セルマ】
「ええ、おもてなしの準備をして頂戴、お茶の一杯ぐらい、飲む時間はあるでしょう?」
【彰】
「そうだな…」

本当のことを言えば、まだまだ授業時間中のはずだが、いまさら戻っても意味がないだろう
ソレよりは、今この目の前にある事態と向き合うべきだ

【彰】
「会議場でいいのかな?この場所は」
【セルマ】
「ええ…一応、フォルテンマイヤー家はミスティック・ワンであることもあってゴルトロックでも屈指の名家なのよ」
【彰】
「へえ…フォースター家はどうなんだ?執事がいるってことは相応の家系なのだろう?」
【ヴァレリア】
「今は落ちぶれちゃってるんですけどね」

そういって笑う…
触れてはまずいことかもしれなかったが、さほど苦痛に思ってるわけではないようなので少しほっとした

【彰】
「さて…すりあわせと行こうか、お互いの世界の違いについて」

まずはこちらの世界のこと…といっても、何を話せばよいのだろうか?

【彰】
「とりあえず…俺達の世界では基本的に人間以外に二本足で歩いたり、言葉を話す生物は存在していない、妖という例外もいるが、例外であるがゆえに迫害などもあるがな…俺達の住んでいた神沢市…市というのはいくつかの町が集まったものを呼ぶものだが…この神沢市でのみ、妖や、俺達人間でありながら妖の力を振るう人妖は差別されることなく生活できた、といったところだな、おおむね価値観などはアルフレッドがこちらの世界に来た折に大差がないことは判明している」

アルフレッドの話は結構何度か聞かされている

【アルフレッド】
「ゴルトロックは解りやすく言えばファンタジーの世界だと思ってくれていいだろう、エルフやリザードマン、コボルドやドラゴンといった種族のいる世界だ…そして、俺と優がいた世界はその二つを元に作り出された世界で、その二つの世界の特徴を併せ持った世界といっていいだろう」
【彰】
「…その世界に、俺に似たそっくりさんがいる、と」
【優】
「そうね…私の従兄弟に当たる人妖、彰兄…最も、あっちの彰兄は鬼化すると完全に鬼の姿になるんだけどね」
【彰】
「俺は目が赤くなるだけだしな、外見的変化だけ見れば」

ちなみに、向こうの方は角が生えるというわけでなく、筋肉が盛り上がり爪や牙が硬化するなどといった変化が現れるそうだ

【彰】
「…ところで、デミウルゴスは呼び出せるか?」

例の説明の後に姿を消したのだ

【菊理】
「ちょっと待ってください…デミウルゴス…」
【デミウルゴス】
「何か確認事項ができた?」
【彰】
「他にあの夜にいた存在は?こいつら側からはアレで全員か?」
【デミウルゴス】
「いえ…確か、エルネスタというエルフも赤い夜に入っていたはずよ、彼女は自分の店の結界から外に出ていなかったから誰とも会わなかったようね、赤い夜の異常性を見抜いて即座に結界を張ったのよ」
【彰】
「ほう…高位の魔法使いと見ていいのかな?」
【ヴァレリア】
「私のお師匠様です…とても位の高い魔法使いなんですよ」
【彰】
「それで、他には?」
【デミウルゴス】
「神沢学園に志都美という人妖が増えています、彼女は優さんたちの知り合いですね」
【優】
「志都美ちゃんも!?」
【彰】
「能力は?」
【優】
「舟幽霊よ」
【彰】
「となると能力は手にしたものに水をためるとかそういうの?」
【優】
「うん、一応、彼女は水じゃなくて液体だから強酸とかを精製して武器にしたりも出来るっていってた、生徒会じゃないから能力は使えないけど」
【愁厳】
「そうか…向こうに戻り次第話をしてみよう…ところで、彰、今何時だ?」

腕時計に目を落とす

【彰】
「…今からではダッシュで戻っても放課後には間に合わないな、というかそろそろ戻らんと駆と雪子のバイトが間に合わん」
【駆】
「もうそんな時間だったのか?」
【彰】
「ああ、赤い夜の中だったとはいえ、ここまで歩いてくるのにかかった体感時間から察するにソレぐらいは必要だろう」
【セルマ】
「そう…出来ればもう少しそちらの世界のこととか話したかったのだけれど…」
【彰】
「明後日、こちらを訪れることにします、優、アルフレッド、お前達はどうするんだ?」
【優】
「私、彰兄の家に下宿してたんだけど…」
【アルフレッド】
「俺は家があるかどうかだな」
【彰】
「優は俺んちでいいな?菊理」
【菊理】
「はい」
【優】
「もしかして、彰兄と菊理さんって付き合ってるの?」
【彰】
「もしかしなくても、今の俺の存在の支えは菊理だ、彼女がいなければ俺は破綻する」

これは断言できる、はっきり言って、俺は彼女に依存している
だからこそ、誓うのだ、守り抜く…と

【彰】
「ま、俺にとって“家族”と呼べる存在はすべからく俺の存在の支えだけどな、彼女はその最初の家族の一人だからな、あとの一人は栞だ」
【メッツァー】
「なるほどな、お前からすれば俺達も“家族”ということになるのか」
【彰】
「まあな、同じ屋根の下で暮らし、同じ釜の飯を食う仲だ、家族と呼んでも問題あるまい」

菊理たち、メッツァーたちが住むようになり、だだっ広かった家が狭くなった
俺の大半を占めていた孤独が失われたそのとき、家族によってその隙間は埋められた
ゆえに、ソレを失えば俺は自分を見失うだろう、あるいは、あの孤独だったころに逆戻りか…
いや、ソレもかなうまい、この温かみを知った今、喪失に耐えられるほど俺は強くはない、あの時以上に打ちのめされるだろうことは想像に難くない

【彰】
「だから、まあ…強制的に分かれさせられるってのがないって聞いたときはほっとした、意地でも菊理について回ってやるからな?俺は」
【菊理】
「私も、彰君とはなれるのは嫌ですから…この世界で一緒に生きて行こうと思ってますよ?」

そんなうれしいことを言ってくれると、ついつい甘えてしまいそうになるが、今はこらえ

【彰】
「さて…そんじゃいったん別れるとしようぜ」

こうして、この日の会合は終わることとなった…

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