第六章

なんかいろいろ疲れた…
しかもあまり悠人らしくない口調がところどころあるし…

聖賢の口調というよりも求めの口調に近い気もするが…
ま、いっか


           第六章/彼の目線(高嶺悠人)

眼を覚まして最初に目に入るのは見慣れない天井だった
この家に住んでもう一週間になるというのに、未だに俺はこの部屋になじめていないようだ
最も、ベッドの感触は俺にはちょうどいいし、単に見慣れない光景だ、というだけだが、それ以前に同じ光景が毎日目に入る、ということがあまりにも久しぶりで馴染めていないのだろう

【悠人】
「…ん…朝か…」

ようやく頭がはっきりしてきた…
と、控えめなノックの音、エスペリアだ

【エスペリア】
「ユート様、起きていらっしゃいますか?」
【悠人】
「ああ…朝食か、着替えたらすぐに行くよ、エスペリア」
【エスペリア】
「かしこまりました」

いつもの服に袖を通し、聖賢を持って下に向かう
今日のスープはエスペリアのものだな…朝から手の込んだものを作るが、エスペリアはいつもそうだ
彼女が率先して厨房に立つことに甘んじてしまうからアセリアやウルカの料理の腕は未だに酷いままだけどな…

【彰】
「よ、悠人」

新聞から目を離し片手を上げる彰
この世界のこの国には新聞というものが存在する、どころか、コンビニまであった
出来合いの弁当や新聞が購入できるが、品数は俺が知るコンビニよりもはるかに少ない
だが、そういうある種の雑貨屋感がある店だからこそこの世界にも馴染んでいるように見える

【ファーレーン】
「彰さん、どうぞ」

ファーレーンがスープを運んでくる、そういえば、付き合い始めたんだったな、この二人
ニムも祝福してるみたいだし…お似合いだとは思うけどな

【彰】
「それじゃ、いただきます」
【悠人】
「いただきます」

俺と彰は同じ文化だから、この動作も当たり前だ、最も、この場にいる全員にすでに浸透している行為なのだが
昔は首を傾げられることも多かったな
全員があわせて俺達に続き、食事が始まる
この家には朝食を抜くという習慣はない、そして、食事は基本的にエスペリアやオルファ、スピリットに任せており、たまに彰が厨房に立つが、魔導世界の人間や俺達が立ったことはあまりない、たまに俺が間食のために立つぐらいだ
魔導世界の人たちは彰曰くカレーしか作らないらしく、魔導世界はカレーが主食として確立されているため、毎日がカレーだという…そんなどこかの国じゃあるまいし…ということで、俺達は厨房を任せていない

【彰】
「相変わらず…美味いものだな」

彰の料理も結構美味い、のだが、こいつの舌が時々不思議に思う、あそこまで美味い料理を作るとなると舌が馬鹿では不可能なはずだが、以前にアセリアやウルカが始めて作った料理を平然と平らげたことといい、よほど舌が強化されていないと考えられないことだ

【悠人】
「美味い!相変わらずいい腕してるよな…エスペリアは」
【エスペリア】
「ありがとうございます」

食事が終わると、俺は今日子たちと町に出ることにしたのだが

【ケイト】
「あ…」
【悠人】
「ケイト…だったよな?」
【ケイト】
「はい、悠人さんでしたよね」
【悠人】
「ああ、今日子たちと町を散策しようと思ってね」
【ケイト】
「よかったら案内しましょうか?俺とフェイはこの町に入って長いですから重要な場所は案内できますけど…」
【悠人】
「…じゃあ、頼めるかな?今日子たちもそれでいいよな?」
【今日子】
「あたしは問題無いわ、光陰もいいでしょ」
【光陰】
「ま、悠人がいる時点でデートってわけにも行かないんだ、いまさら一人や二人、増えても変わらないさ」

余計なことを言って今日子からハリセンを貰う光陰…今ではすっかり馴染んだが、エターナル化してから初めてハリセンで光陰をどついた時は本気で三途の川を拝んできたらしく、きわどいところでエスペリアの治療が間に合ったこともある
今でこそ神剣とハリセンでの突っ込みをうまく調整できてるからいいんだが…
というよりも、光陰が防御に長けていなければ即死していたかもしれないらしく、あの時は本気でうろたえてたしな…
今でこそ普通に使うようになったが、そのときからしばらくはハリセンを見るのすら怖がるぐらいトラウマになってたんだよな…

【悠人】
「まったく、何馬鹿やってるんだよ、二人とも…案内してくれるんだし、行こうぜ」
【ケイト】
「えっと、それじゃフェイも呼んできます」

しばらく待っていると、すぐに二人が降りてきた

【ケイト】
「それじゃあ、行きましょうか」

この家は一等地に建っているらしく(彰は俺が家を建てた後に周囲が発展しただけで、ほとんど平野に近い状態だったと言っていたが…)、近場に結構大きな店が集まっている
…俺達の世界で言えばデパートになるのだろうな…この世界でも呼び方は同じらしい
中途半端に発達している文明のせいでこの東方の島国…俺達の世界で言う日本、この世界では東方の島国としか呼ばれていない…は他の国に比べて少し浮いて感じる
服や食料をまとめて買えるという事で場所だけは教わっていたのだが、実際に中に入るのは初めてでどういうつくりになっているのかは知らない…だからこうして来てみたのだが…

【光陰】
「見事なまでに…デパートだな、こりゃ」
【今日子】
「そうね…この世界の中でこの国だけ浮いてる…」
【悠人】
「ケイト、こういう店って言うのは最近にできたものなのか?それとも、こういう店の形態は昔からあるのか?」
【ケイト】
「ごく最近になってから増えてきたんですよ…どこからかは解りませんけど、そういう文化が流れ込んできたみたいです…詳しいことは解りませんけど」
【フェイ】
「当時の新聞ぐらいなら捜せば見つかると思うわよ?」
【悠人】
「いや、そこまでは必要ないさ」

この土地だけが浮いている…ソレはこの土地が独自の文化を持っているからだとも思えるが、この様子だと、誰かが似たような文化を持ち込んだのかもしれない…
彰なら予想できてることだろう…って

【悠人】
「今日子と光陰はデートモード突入か…こんなことならアセリア連れて来ればよかった…」

訓練の方がいい、とあっさり切り捨てられたのだ、元々アセリアは自分から外出することなんて稀だからなあ…
むしろこういう場所の地理を把握する必要があるのはエスペリアやオルファ、スピリットたちだが、彼女達は早い段階で彰が案内していたからな…

【悠人】
「さて、俺はどうするかな?」

ケイトたちも案内が終わると自分たちで移動して、二時間後にココに集合ということになった
つまり、後二時間はどうにか時間を潰さなければならないし、あの二人のデートに首を突っ込むのは自殺行為にも等しいので遠慮する

【悠人】
「本屋でも行ってみるか…」

確かこの階だったよな…
しばらく歩いて、本屋に入る

【悠人】
「文字が日本語なのもありがたい…」

そう呟き、当たり障りのない雑誌を手に取る
簡単な情報誌…というよりもゴシップの類だが、ある程度は役に立つ情報もあるだろう

【悠人】
「…流石に、芸能スキャンダルなんてものはこの世界ではほとんどないんだな…」

確かに、この世界でも芸能人と呼ばれる職業はある
といっても、その実体は旅芸人一座や精々が演劇だ
テレビに近い魔導器具は存在するが、基本的にそこには芸能というジャンルが存在しない、局といえるものもこの国でも二三局、よその国に至ってはほとんどの国がこういうテレビは普及しておらず、そのほとんどが国営放送のみだという
そんな中には芸能スキャンダルという単語は存在し得ない
最も、この国では演劇や芝居などの映像をテレビで写すこともあり、そういった芸人のスキャンダル記事はある程度は存在するようだ
最も、俺が今読んでいる雑誌にはそういったような記事はない
当たり障りのない少しばかりの技術情報や、それこそ演劇の公演情報、そして少しばかりの掲載小説があるだけのものだ
俺が見たいのは現在のこの世界の状況で異常がないかだが、特に際立った異常はないようだ、そういったことがあればテレビやこういう雑誌は我先にと掲載するはずだからな…

【ケイト】
「悠人さん?」
【悠人】
「ケイトか…」

雑誌を元の場所に戻し、時間を確認する、まだ一時間はある
気づくとフェイは近くの魔導技術関係の専門誌を立ち読みしていた
この世界の魔導師である彼女はやはりそっち方面の研究に余念がないようだ

【悠人】
「さて、俺は少し下のフードコートでなんか飲んでるよ」

フードコートは名称そのままでここにもあった
むしろ、俺にとってはファーストフードのチェーン展開なんてものが存在すること自体が驚きだ
最も…この国だけ、存在するもののようだが…
ハンバーガーショップでポテトとコーラだけ買って開いてる席に座る

【光陰】
「よ、悠人」
【悠人】
「光陰と今日子もか…時間多く取りすぎたな」

苦笑しながら席に着く光陰たち

【今日子】
「でも、結構楽しかったね」
【光陰】
「まあ、ここならそう遠くはないし、来ようと思えばいつでも来れるからな」

デートスポットに決定したようだ…
それからはこの二人と行動し、時間になる

【ケイト】
「それじゃあ、帰りましょうか」
【悠人】
「そうだな、そろそろ訓練もやらなきゃいけないし」

肩をすくめて言う、流石に、あまり怠けていては他の皆に示しがつかない
特に年少組が頑張ってるのに俺たちが怠けていてはそれこそ彰になんと言われるか…

【彰】
「ふっ!しっ!せあっ!」

家に近づくにつれ、刃が風を裂く音と彰の声が近づいてくる
あいつはどうも庭で素振りをしているらしい
しかしこの音…竹刀や木刀じゃないな…

家に入る頃には素振りの音も止んでいた

【悠人】
「ただいま」

出迎えはいつものようにエスペリア、アセリアたちはまだ訓練場にいるらしく、彰もそっちに向かったそうだ

【ケイト】
「じゃあ、少ししたら、訓練場に顔出しますね」
【悠人】
「ああ…俺達はすぐに向かうか…」

それからしばらくは訓練に勤しむ
夜になり

【悠人】
「彰…その日本刀はなんなんだ?」
【彰】
「新しい得物だ、今日調達してきたんでな」
【悠人】
「昼間のはそれか…」

妖刀の類を調達したそうだ、一応、この国の専門機関に依頼して調達したらしく、相当な業物らしい

【彰】
「流石に妖刀ってだけあって、永遠神剣並にわがままで困るがな…ま、因果並におとなしい奴なんで助かるよ」

永遠神剣の中でも因果は比較的に温和で、人の精神に干渉しないそうだ
こいつが持つ妖刀もそうなのだろう

【彰】
「っと!来るぞ!」

気配を感じ、手を柄に添える彰

【悠人】
「さて…行くか!聖賢!」

大体二、三十か、それほど多くはないな

【彰】
「ふっ!」

一撃で妖怪があっさりと両断される

【彰】
「流石に…妖刀だけあってよく切れる!」

返す刀でもう一体、割りと手にも馴染んでいるようだ

【悠人】
「こっちも負けてられないな…」

構えると、一体に向かう

【悠人】
「うおおおおおお!」

縦に振り下ろした後、横に薙いで後ろに跳ぶ
少し遅れてその妖怪はマナの塵となった

【ケイト】
「うおおおお!」

ケイトもまたよく戦っている、彰の狼牙のようにマナを収束させた日本刀で一体を両断した

しばらく戦い、妖怪はほとんどが退散した

【彰】
「手ごたえはつかんだな…こいつなら、やれる」
【悠人】
「そうか…」
【聖賢】
「…この刀…まさか…な」
【悠人】
「どうした?聖賢」
【聖賢】
「いや…なんでもない、気のせいだろう」

家に戻り、風呂に入ると寝ることにした

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