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オリジナル六日目

ちと長いっす
というか、事実上、コレが最終章みたいなもので、後日談は恐ろしく短いです
だから手抜きって言うなあああ!


                    六日目

「水月は…構えは理想的なんだけどなあ…」
「そうですか?」
「ああ…やや上段に構えるくせがあるが、自分が一番動きやすい構えかたをするのは当然だ、俺の知り合いには蜻蛉の構えのくせに大会上位入賞する化け物がいるぞ?全部面の一本勝ちだ」
「速度がすごいんですね…その人」
「ああ…すごいなんてものじゃない…あいつはなあ…百に通ずるより一を極めたって感じの男だよ、で、お前の構えは問題無い、だが…動きがいまいち柔軟さに欠けてるんだよ」
「え?」
「俺が実践するから見てみろ」
そう言うと、竹刀を構える彰、防具がない分動きに差は出るのだが…
「ふっ!」
一度息をはくと、続けざまに技を繰り出す
「防具ありでは少し遅くなっても仕方ないが、今みたいな感じでやってみたらどうだ?」
「今みたいに?」
「そうだな…」
彰が構える
「受けきれ、水月」
「はい…彰さん」
彰の目に本気を感じ取り、構える水月
(やはり構えはそのまま…だが、だからこそそれが相応しい…)
彰の攻撃は非常に変則的だった、剣道の大会ではありえない動き
だが、それを受ける水月の動きにこそ重きがある!
「ふぅ…今の動作を反復しておけ…こら!久龍!竹刀の握りが甘いぞ!それでは素振りやるだけで竹刀がすっ飛ぶ!」
新人に檄を飛ばす彰、水月の指導ばかりするわけにも行かない、それに、自分の稽古にならない、だが、朝練はそれでいいのだ
彰が本腰を入れるのは放課後だけだ
そして、授業を軽くスルーし(土曜なので半日授業)
他の学生が購買などで昼食を済ませる中、彰と水月は道場にいた
座して精神を集中する、そのまぶたの裏に、あの剣士がいた
その青年剣士は、わずかに微笑んでいるように見えた、彰の成長に
(久し振りだな…いずれ再び、手合わせしたいものだ)
心でそう言ってみる、それに対し、彼は確かに頷いて見せた
所詮は幻想だろう、だが、だからといってそれを誰が馬鹿にできるだろうか…
彰の中で、それは確信に変わっていた
「早いな、お二人さん」
「木嶋」
「先生」
「よう、そうやってるといっぱしの武術家に見えるぜ」
「一応、いっぱしの剣道家、ではあるはずだが…」
「はは、違いない」
そういうと、竹刀を取る木島
「天神、審判を頼む」
「え?」
「頼むぞ、水月」
それに応じて、竹刀を手にする彰
防具なし、竹刀で打ち合い…それを行うと、木嶋の動作で理解したのだ
「行くぞ、どれだけのものになったのか、見せてみろ」
「ああ…教師だからって手加減はしないぜ」
「上等だ」
「それでは…はじめ!」
地をける彰、初動から攻めに入る!
それに対し、静の剣で行くことにした木嶋は攻撃を受け流しつつ返しの機会をうかがう…だが
「ひゅっ!」
彰の口から小さく息を吐く音…同時
「!?」
変則的な軌道で竹刀の動きが変わる
パン!
その竹刀は、木嶋の胴に当たっていた
「そこまで!」
「つつ…やるようになったな…彰」
「だが、公式の大会じゃゼッテー許されない勝ち方だね、どうにも武道って奴は形式美にこだわり過ぎる」
「はは、お前さんは剣道よりも剣術のが向いてるんじゃないか?」
「剣術が?」
「ああ、いつぞや話してたな黒髪の青年剣士のことを」
「あ…ああ…」
なぜか、つばを飲む彰
「だそうだ、いい具合に力もついたし、手合わせしてやったらどうだ?」
「…父さん、そうやって最後まで彰をからかいたがるのはよくないと思う」
「!?」
その青年には覚えがある、それどころか、先ほどまで彰の思考に存在していた青年なのだから…
「久し振りになるな、彰君」
「黙っていて悪かったな、だが、昔のお前さんにゃ、こいつの存在を教えるのはまずいと思ったんでな」
「そうだな、あの当時の俺はこいつに固執していた、まちがいなく、あの時と同じ言葉を言わせていただろう」
「そうだな、だが、父さんを倒したということは、相応の実力があるということだろう」
「そういえば、何故お前はあの当時、あの町にいたんだ?」
「お前と同じだ、武者修行」
「…似たもの同士だったってことか、思いは大きく違えども」
「そうだな、さて、それじゃ、名乗らせてもらおう、木嶋猛、古流剣術、村雨流を受け継ぐ剣士だ」
「高橋彰、ごくごく平凡な剣道家だ」
「それじゃあ、始めよう」
お互い、無言で竹刀を構える
審判は木嶋…そして
「始め!」
「せぁっ!」
「ふっ!」
竹刀が交差する、一合、二合…何合ものぶつかり合い
「せぁっ!」
動の彰に
「ふっ!」
動の猛
お互いが動であるが故に、竹刀の音が異質なものとなる
すなわち
ギン!というしなる音…そして
「はあああっ!」
「せえええああああっ!」
バキッ!
「そこまで!」
「…竹刀が折れちまった…」
「まったく、無茶しすぎだ」
そういうが、何も問題はないとばかりに頷く木嶋
「で、納得したか?彰」
「ああ…コレなら何とか…いけるかも知れない…」
そして…日をかなり飛ばし、剣道大会最終日、インターバル中
彰は次が決勝、女子はすでに終了しており、水月はTOP4入りという結果を残した
「彰さん…頑張ってくださいね」
「ああ…」
軽く口付けると、防具を着て、会場へと向かう、そして
「!?」
蜻蛉の構えを取る彰
「…」
面の上からでは解らないが、彰の目は真剣そのものだというのに、口元はどうしようも無いほど歪んでいる
一種の高揚感、それによるものだが、蜻蛉の構えにしたのには別の理由がある
「…」
そう、先日水月に話した蜻蛉の構えで大会上位入賞したというのはまさしく彰のことだったのである…県大会上位入賞、それが中学時代のことであり…動きを柔軟にするための諸国武者修行の旅だったが…
(一を極めてこそ最強となる…)
審判の合図とともに、地を蹴る対戦相手、だが、彰は動かない
「はっ!」
当然のごとく、胴を狙う相手だが、その直後、彰は相手の隣に移動していた
パアン!という小気味のいい音がして、審判が手を上げる
「面!一本!」
体の動かし方こそ少々変則的であるが、別段規則に反した動きではない、そして、見事に彰は全国一位の肩書きを手に入れたのだった
「彰さん…蜻蛉の構えで優勝した男って…」
「優勝はしてないよ、10年ほど前に俺が県大会でTOP8に入ったぐらいのころにやったことだ…今は速度を生かした変則的な動きでの剣舞になってるが、元は面狙いだけの馬鹿だったんだ…で、せっかくの決勝だ、勝つにせよ、負けるにせよ…せめて思いっきり楽しんでみたくなったのさ…結果勝ちも拾った、最高だね」
その顔は満面の笑顔ではない、だが、水月や郁美、美咲、木嶋親子は知っている、彰はこの顔こそが何よりも満足したときの顔なのだと
単純に言うならば豪快なにやけ面とでも言うべきだろう
そして、その日は木嶋の奢りで焼肉に行ったのだった
「すんません!こっち、カルビと野菜盛!追加お願いします!」
「よく食うねえ…まあ、俺が奢るっていったし、一応かなりの金額は用意してるけどさあ…」
結構な量を腹に収めている彰だが、その食欲は止まらない
「まあ、いいじゃないか、父さん…それより、彰のことだけど」
「これから卒業まではきっちりしごいてやるさ」
「卒業後も、頼む」
「!?」
「村雨流のことだろ?」
「そうだが…」
「俺も、もう少し高みを目指したい、そのためには、剣道だけじゃ足りないんだ…俺の動きはもう剣道の域を超えている、それは理解してる、だからこそ、俺は剣術を学びたい、そして、いつかは同じ土俵で猛に勝ちたい」
ちなみに、猛と彰は同い年だった
そのせいもあり、この二人は意気投合し、剣術以外での趣味について語ることも多くなった
とりあえず、彰一人で相当な額を喰らったことは言っておこう
帰り道、彰は水月とともに自宅に帰った
「…」
「…」
何も言わず、口付ける二人
深く、長く、その感触を忘れないよう、胸に刻み込んでいく
彰にとって、最も大切な人、その温もりを、いつまでも感じるために…


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