KANONSS第五話

じゃんじゃんいってみよ~!



              5/

翌朝、覚醒した彰は左腕に違和感を感じた
そこでは未だに夢の世界にいる栞が寝息を立てていた
「そうか…俺はこいつと付き合うことにしたんだよな…」
再度口に出して確認する、とりあえず、栞がおきないように腕があった場所に通常の枕を置き換え、自分は階下へ降りる
「…おはよう…舞」
一人早く起きたのだろう、そこには舞がいた
「おはよう…」
(ぐっ…昨日の事もあって、かなり気まずい!)
その空気を打破したのが、久瀬だった
「おはよう、二人とも」
「ああ…おはよう、久瀬」
「おはよう…」
「あ…とりあえず、全員分の朝食用意しないとな…どうしたものか…」
「どう言うことだい?」
「ああ…俺は朝食は基本的に米なんだよ…パン食の奴がいるならそっちも用意しないといけないし…」
「私と佐祐理はご飯でいい…」
「僕もさほどこだわりは無いのでね、作っていただく以上贅沢は言わないさ」
「あたしもソレでいいわよ」
「香里…」
「まあ、あたしも栞もご飯でいいわよ…潤もきっとね」
「…じゃあ、とりあえず人数分朝食よういするから、少し待ってろ」
慣れた手つきで卵焼きと味噌汁を作ると、味付け海苔を人数分食卓に並べ(コレは久瀬がやった)、配膳を済ませると(こっちは香里と舞が手伝っていた)それぞれを起こしに向かう
すでにおきて着替えを済ませていた佐祐理と潤はすぐに下に降りてきたが、栞だけが起きていなかったので、着替えを待つことになった
「そういえば、彰はどこまで進んだの?」
「…キスもまだですよ、流石に舞を振ったその日からってわけにも行かなくてな…お互いに」
そこに栞が降りてくる
「さて…それじゃあ、揃ったことだし…」
全員があわせていただきますを口にする
「ふむ…まあまあか…」
ちなみに、朝食の食膳は
ご飯、ワカメと豆腐の味噌汁(あわせ味噌、調合は彰の嗜好である)、卵焼き、後は海苔である
食べ終わると、それぞれ荷物を持って学校へと向かう
「よ!祐一!」
「彰か、どうした?今日はやけに元気だな」
「ふっ、そういうお前も…さては昨日あたり誰かとしっぽり…」
「違う!断じて違う!」
「そうか~?先ほどからすごくうれしそうな名雪がいらっしゃるんですが?そもそも彼女がこの時間に起きてるなんて…昨日あたり何かあったと見るのが妥当だろう?」
「ぐっ…」
「ふっ、結果が見えたな」
(なんだ…美坂チームでカップルが成立したんじゃないか…今は栞も加わったからな…俺と栞、潤と香里、祐一に名雪か…)
こうして、全員の関係が美坂チーム内では当たり前に知られることとなった
最も…学校内でソレを知るのは久瀬と佐祐理のカップルと、舞、美汐、そして美坂チームと仲のよい斉藤だけである
なお、久瀬と佐祐理、舞、美汐の四人も美坂チームに入ることが決まった
「なんか、学年の域を超えての交流の場になっちまったな…」
そう呟く彰である
「ほんとにね…でも、いやな感じはしないけど」
しかし、彰と舞の間にはまだ少し気まずい空気が流れているが…
「…舞の彼氏探しもしてやらないとな…」
「え?」
「え?じゃない…おまえを振った手前、ソレぐらいの面倒は見たい…」
「別に…気にしなくていい…」
ちなみに今いるのは屋上で、全員が彰の作った特大弁当をつついている
ちなみに、祐一は久瀬と同じリアクションをしていた
もっとも、突っ込む奴は一人もいなかったが
「いや、しかし、本当に美味いな…」
「そりゃあ…冷めても美味しくいただける料理にしましたからね…」
そこは彰の料理人としての腕もある、調味料の配分を少し変えるだけで冷めても美味いという風にも変えることが出来るからだ(最も、やはり出来たてに比べれば多少味落ちはしてしまうが)
昼食が終わると、彰はいつもどおりに素振りを始める
ちなみに、竹刀袋を持ち込めるように久瀬が手配してくれたため、彰はいつも使っている木刀を校内に持ち込んでいる
「せっ!はあっ!」
なぜか、そのまま演武に移行してしまうのが不思議なところではあるが
「せぁああっ!」
そして…
「ふぅうううう…」
一度大きく息を吸い…
「ふっ!はああああっ!」
抜刀状態から放てる連撃で終わらせる彰
「ふぅ…こんなものかな…」
その場の全員から拍手が上がる
「そういや…お前ってコレを真剣で出来るのか?」
「余裕だ…そうだな、片方持ってみろ」
祐一に今まで片手で振り回していた木刀を渡す
「うぉっ!?」
軽い気持ちで片手で受け取ったために一気に腕ごと下に持っていかれそうになり、彰が刀身を支えたので倒れずに終わる
「な…なんなんだ!?こりゃ!?」
「鉄芯入っていてな…実際俺が護衛で使ってる小太刀二刀よりも重い」
鉄芯というが…実際は鋼よりも重い鉛を仕込んであるため小太刀二刀よりもかなり重い仕様になっている
「とまあ、コレで納得できただろ」
「いまいち納得しがたいが…まあ、納得できた…」
「俺も一回素振りさせてもらったが…100回持たなかった…」
その小太刀を再び『腕力で強引に』と『重力と振り子の原理を利用して』のバランスよく片手で縦に振ってみる彰
「…何故剣道部に入らない?」
「俺が剣道なんかやってみろ、普通に怪我人量産されるぞ?」
そもそも、彰の使う御神流と剣道では本質が違う
「ま、そういうわけなんで、俺は剣道はやらねえの」
木刀を竹刀袋に戻し
「さて…そろそろ戻るか」
先に歩き始める彰
そして…放課後
彰は一人商店街に立っていた
「…」
特に何を見るでもないが、何かの気配を感じたのは事実だった
「…なんだ?」
気配を探るが、その気配は消滅していた
「一瞬だけだが…おかしな気配を感じたのだが…」
「うぐぅ~!どいてどいてどいて~!」
思考中にも関わらず軽く体を横にかわし、突撃してくる存在をかわし、自分の財布を取り出す
「すみません、俺の知り合いが何かやらかしたみたいで…とりあえず、今日分は払いますから許してやってください」
「そうかい…あんたの彼女かい?」
「いえ…知り合いというだけですが」
とりあえず、その分の代金を払う彰であった
そして
「あゆ…またか!」
「うぐぅ…また財布を忘れたんだよ!」
「…馬鹿かお前ばっかじゃねえのか?またはアホか?」
「うぐぅ…」
「とりあえず、今日の分は俺が超特別に奢ってやるよ、その代わり一つよこせ」
そう言うと、強引に袋の中から一個取り出し、ソレをもってその場を移動する彰であった
「ったく…甘いが…不味くはないな」
元々甘ったるい菓子が苦手な彰であるが
「まあ…たまにはこういうのもいいか…」
どうやら、あの店のたい焼きはそうでもないようだ
「さて…今ので気配が完全に見えなくなっちまった…」
おかげで今回の偵察は断念することとなった
「まあ…いいか」
だが、この段階で彰は先ほどの違和感の原因に遭遇していた…ソレに気づくことなく…
翌朝、妙に深刻な顔をした祐一に放課後集められた美坂チーム…
「で?コレだけのメンバーを集めて、こんな通路で何をしようというんだ?」
そう問う彰
「…この道の木の下に人形が埋まっているんだ…ソレを探してほしい」
「…この道の木って言うことは…どの木かは解らないんだな?」
「…ああ」
「…」
少しうつむくと、軽く肩が振るえている彰
「よっしゃあ!任せろ!」
「おうよ!同じ美坂チームの一員が困ってるとあっちゃ、無視は出来ねえよな!」
こうして、各々がスコップその他採掘道具を手に木の下を掘り始めた
「どれくらいの深さだ?いくらなんでも木が傾くほどはありえないと思うが」
「ああ…深さはシャベルが埋まるぐらいだったと思う…後、ガラスのビンに入れてある」
「了解!」
必要最低限のことだけ解っていれば、見つけるのは簡単になっていく…
少なくとも無駄に掘り過ぎることだけはなくなるからだ
だが…この商店街にある通路に植えられている木は数百を超える
いかに人海戦術でも、実際の戦力としてすばやい動きが出来ているのは彰と潤の二人だけであり、栞と名雪、佐祐理は穴埋め作業に専念しているため、思った以上に効率が悪いのだ…
「くっ…思った以上に木があるよな…」
人目がないので何をやっているのかと問われる心配もないのでいいのだが…
最も、問われたところで久瀬の話術で何とかなだめることは容易いだろうと思われるのだが…
一度、休憩を挟むことになったが、まだ半数もほれていないという状況だった
「…やはりもう少し人員がいるか…少し待て、増援を手配する」
「いや…そこまでしてもらわなくても」
「俺がやりたいだけだし、それに、俺が要請するのはお前らもよく知っている連中だぞ?」
しばらく、携帯電話で話していたかと思うと、数分で秋子、真琴、斉藤の三名が到着する
「俺と潤、斉藤がスコップで穴を掘るから、それぞれに一人ずつついて穴埋め要員になってほしい」
そういうと、再びスコップを担いで立ち上がる彰
彼には当然栞がつく
「俺もスコップ班に回る、名雪、手伝ってくれ」
「それじゃあ…香里、頼む」
「解ったよ」
「ええ…」
「俺は…」
「私がやりますね~」
「おねがいします、倉田さん」
「私たちも頑張りましょう、真琴」
「うん!」
こうして、再び今度は先ほどよりも早く採掘が進む
そして
「あったぞ!コレじゃないのか!?」
潤の声が上がる、その声に一同が集合する
「ああ…ソレだ…」
片方の羽がもげ、ボロボロになってしまった天使の人形…
「…さて…穴埋めに戻るか」
数分でソレが終わると、一同彰の家に
何故彰の家かというと、全員が集合できるような家など彰の家か倉田家しかなく、全員が泥まみれの状況で倉田家になどとても訪問できないからだ
「それじゃあ…女性陣から先に風呂入っちゃってくれ」
そう言うと、彰は自室に戻る
「ん~…野郎共は俺のとかで一応代用できるが…女性陣が問題か…」
一応、人数分用意し
「あ~…女性陣の分の替えの服、一応ジャージの類で置いとくから」
そう言うと、さっさとその場を後にする
しばらくして、女性陣が上がると、今度は男性陣がまとめてはいる
「まさか…こうして再び君の家で風呂に入ることがあるとは思わなかったよ…」
「ソレはお互い様だな…俺もこうなるとは思っていなかった」
そういうと、軽く泥だけ洗い流すと、さっさと風呂場を後にする彰
台所に行くと、なぜか包丁の音がしていた
「?…なぜ、お前らが料理をしてるんだ?」
素朴な疑問を投げかけてみる彰であった
その場では、女性陣が和気藹々と料理に励んでいるではないか(なぜか、この中で一番料理が得意であろう秋子さんと名雪…それに、こちらは当然だが、料理のできない真琴は除かれていたが)
「それは…ほら、この前は彰にご馳走になったでしょ、だから、そのお返し」
そういう香里…だが、その顔の裏にあるものを瞬時に読み取る彰
「と、いいつつも、食ってもらいたいんだろ?潤にお前の手料理を」
「…うん」
少し赤くなり頷く
「そうですか…じゃあ、俺は道場に入ってるから、何かあったら呼んでくれ」
「料理が出来るまで呼ばないと思います」
「ま、それもそうだな」
そう言うと、室内道場に入る彰(普通の個室と大差ない大きさのため、素振りなどが出来ないが、精神集中と軽く体さばき程度ならできる)
毎朝ここで体をほぐしてから走るのだが…何よりもこの道場の空気が彰は気に入っている
ピンと張り詰めた空気、戦闘稼業だった頃からのくせでもある、この種の空気に触れることを望んでしまう性
最も、栞の気持ちを受け入れて以降、この気性は急激に治まりを見せたのだが、それでも、こういった空気が一番精神集中にはふさわしいのは事実なので、精神集中にはここを使用している
「…」
座禅を組み、目を閉じる彰
だが、彰にはその室内全ての状態が把握できていた
その空気に触れることで、その風を聞くことで、この狭い道場の中のことは全て把握できる
彰はこの能力で今までも武装した存在の気配をかぎ沸け、未然に攻撃を防いできた、もし護衛業に復帰するようなことがあるならば、この能力はとても重宝する、だからこその反復である
しばらく、精神集中を続けていたその部屋の静寂は、栞の来訪によって破られた
「彰さん、料理できましたよ」
「そうか…」
立ち上がると、リビングへ向かう
「ふむ…俺が作ったよりも遥かに豪勢だが…その前にコレだけの材料うちにあったか?」
当然集中していても時間間隔が狂うようなことは無い、となれば、さほど時間はたっていないから食材を買い足す時間などなかったはずだ
『それは…秘密です』
と、女性陣全員に言われては流石の彰も口をつぐむ他なかったが
最も、理由は単純で、元々そのためにこの前料理を馳走になった女性陣が用意していただけである、だから、招集を掛けられる前に、秋子さんたちがこの家の合鍵(美坂姉妹に一つずつ預けてある)を使用して頼まれていた食材を運び込んでおいたのだった
なお、その合鍵はすでに香里に返却された後である
「…なあ…もしかしなくてもお泊りする気満々ですか?皆さん」
一同頷く、すでに香里と栞は電話で止まる旨を告げているし、ソレは他のメンバーも同じである
「…それじゃあ、部屋割りを先に言うぞ」
そうして彰が口にした部屋割りは
彰と栞が同室
潤と香里が同室
祐一と名雪が同室
久瀬と佐祐理が同室
美汐と真琴が同室
舞、斉藤、秋子は一人部屋
となった
「さて…この部屋割りに依存がある奴いるか?」
全員が首を横に振る
「じゃあ…冷める前に食っちまおうぜ、いただきます」
『いただきます!』
こうして、妙な食事会が始まった
「…美味いな…」
とりあえず、全種食べて
「それじゃあ…どれが誰の作ったものかあててみなさい?」
香里が言うと同時、恋人持ち全員が唸る
最も、今回名雪が料理を作っていないことを知っている祐一だけは除かれたが
「とりあえず、コレだけはわかるって奴だけ先に言わせてもらうとしようか…」
そう言うと、箸で一つを指す彰
「コレが佐祐理さんだな…あと、こっちのが舞で…」
そこまで言って言いよどむ、女性陣の反応からコレが正解であることは言うまでもないのだが…
「多分…コレが栞、こっちのが香里だな…というわけで、必然的に残りの一品、そっちの煮物が美汐か」
「すごいです…」
「どうやら…正解だったようだな…栞と香里で相当悩んだ…」
「へ~…じゃあ、どうして解ったんですか?」
「…想い、だ」
「え?」
「料理ってのはどうしても作ってる奴が一番食べてほしい奴に対するメッセージ性が出る、元々料理の味を知らなくても、久瀬に対する想いが強くでていた佐祐理と、ソレに近い味の舞は最初に予想がついた、それで…味がほとんど同じの栞と香里で相当悩まされたけどな…やっぱ、口に含んでみればその想いってのが誰に向けられたものかはわかるんだよ」
『お~』
ぱちぱちと拍手が上がる
「…」
その反応に憮然とした表情で料理を口に運ぶ彰、最も、栞の料理を口にした直後笑顔になっていたのだが…当人は気づいていないだろう
その反応に軽く笑ってしまう美坂姉妹+数名であったが、今の彰は気にすることなく
栞の料理の30%近くを彰の取り皿の上に移動する
最も、その動作すら気づかれないように行ったため(まあ、栞と秋子さんは気づいていたが)、ソレをとがめる声はおきなった
そんなこんなで料理もなくなり、みなの満腹中枢も言い感じに刺激されたであろう状態となったので、部屋への案内が終わると、栞に腕枕した状態で即座に意識が落ちる彰であった…

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